安井研究室

研究内容

• 製品やシステムおよびサービスのユーザインタフェースデザイン
• デザインマインド

研究の魅力

私がこの研究に感じている魅力は、正解の用意されていない世界で、表現しながら模索的に思考を重ねることによって、当初は思い描くことができなかったような新しい価値の創出に到達することです。これはユーザインタフェースに限らず、デザイン一般に通底する魅力だと考えます。

実績

• Do VAIO [直感操作モードDoVAIO]、2004年
• パーソナルコンピューターのUIデザイン [VAIO Type U, VGN-UX71, UX91 series ]、2007年
• レンズ交換式デジタルカメラ用ユーザーインターフェース [NEX-5/NEX-3用ユーザーインターフェース]、2010年
• 北斗市のご当地キャラクターのデザイン [ずーしーほっきー]、2013年

JKA補助事業成果について

補助事業番号：2018M-136

補助事業名：能動的触知覚を利用したハプティックデバイスの実証テストベッド制作とその活用補助事業

補助事業者名：公立はこだて未来大学　システム情報科学部　情報アーキテクチャ学科　安井重哉

• 研究の概要 本事業では、極めて簡単な仕組みで、ユーザが操作時に明示的な触覚的フィードバックの得られる、スイッチタイプのユーザインタフェースデバイス「稜線UI」の実証テストベッドを制作する。 稜線UIは、二つ以上の指先程度の面積を持った小型操作面(以下、一方の面をA面、もう一方をB面とする)を、段差もしくは障壁（以下、これらを知覚的稜線）を設けて配置することによって構成されている。それぞれの操作面は抵抗膜方式や静電容量方式のようなタッチパネル、もしくは複数の圧電素子などから構成されるタッチセンサとなっており、ユーザが指先をA面からB面へ、知覚的稜線をまたいでスライドさせた時に、ON/OFFなどのコマンドが実行され、本装置がスイッチとして機能する。この時、ユーザが自らの意思で動かした指先に、知覚的稜線を乗り越えた触知覚（能動的触知覚）が得られる。このタイミングを操作の入出力を同期させることにより、ユーザが、操作をしたことを明示的に知覚できるように、触覚的な操作フィードバックとして利用することが、稜線UIのハプティックデバイスとしての特徴である。 稜線UIでは、触接対象となる操作面がユーザに適切な触覚フィードバックを与えられるように、その立体形状を工夫する必要がある。そのため、操作面の様々な立体形状を模索し、それらの効果が比較評価できるようにする必要がある。また、触覚フィードバックには、触接対象の立体形状の他に、木材や金属およびガラスなどの素材、シボなどの表面処理などが影響を及ぼすと考えられる。これらの要素も評価の対象となる。 そこで、本事業では、操作面を交換可能なパネル状（以下、稜線UIパネル）にし、様々な「立体形状」「素材」「表面処理」の組み合わせの効果を検証可能な実証テストベッドを制作する。また、このテストベッドは実働するものとし、触接動作を感知するセンサや電極と、聴覚や視覚に作用する何らかの出力部、およびそれらの制御部が備わったインタラクション環境とする。このテストベッドがあれば、実際の操作環境に近い状況で、稜線UIパネルを用いて、感性評価とユーザビリティ評価を実施することができる。また、原理試作として、稜線UIの効果を広く一般に公開することもできる。
• 研究の目的と背景 実証テストベッドの制作により、稜線UIの実用化に向けて、操作面に用いる「立体形状」「素材」「表面処理」等について、様々な知見を蓄積することができる。また、副次的に実証テストベッドを展示会等に出展することにより、効果を広く一般に公開することができる。 近年、スマートホンやゲーム機など様々な電子機器にハプティックフィードバックが取り入れらている。それらに用いられるデバイスには、アクチュエータや可動部などの特別な機構が必要であるが、本事業でテストベッドを制作する「稜線ユーザインタフェース（以下、稜線UI）」は、極めて単純な仕組みでハプティックフィードバックを実現できるため、「安価に製造できる」「故障しにくい」「造形自由度が高い」「防水、防塵構造に適する」などの特徴を備えており、幅広い適用が可能である。そのため本事業には大きな社会的インパクトが期待される。
• 研究内容 （１）能動的触知覚を利用したハプティックデバイスの実証テストベッド制作とその活用 ・実証用テストベッドの設計と制作：「稜線UIパネル取付部」、触接動作を感知するセンサや電極による「センサ部」、聴覚や視覚に作用する「出力部」、プログラムによってテストベッドを制御する「制御部」などが備わったインタラクション環境とする。 ・稜線UIパネルの設計と制作：「立体形状」「素材」「表面処理」等の組み合わせにより、複数のものを設計する。 ・評価：テストベッドを用いた、システムの実用性の評価、および稜線UIパネルの比較評価。 ・公開：展示会（イノベーションジャパン2018）などへの出展
  本ハプティックデバイスの構成
  イノベーションジャパン2018に出展
  
• 本研究が実社会にどう活かされるかー展望 本ハプティックデバイスは、住宅設備や自動車、電子機器などに用いられるスイッチとして実用可能性が考えられる。また、構造が単純であるため、安価に製造することが期待できる。これにより、誤動作が起こりにくく、操作時の触感を楽しむような新たな体験を、広く一般に提供することができる。
• 教歴・研究歴の流れにおける今回研究の位置づけ 補助事業者は、ユーザインタフェースデザインを研究としている。今回の研究は、ユーザインタフェースの最小単位を構成するスイッチデバイスに関するものであり、研究の基盤と位置付けられるものである。
• 本研究にかかわる知財・発表論文等 1. 第65回日本デザイン学会春季発表大会において「「間」をなぞるユーザインタフェース　身体的体験メディアとしての可能性」と題し、口頭発表を行った 2. 「タッチセンサユニットおよび操作方法」（特願2018-106887）として特許権を申請したが、特許公報には今後掲載の予定である。
• 補助事業に係る成果物 （１）補助事業により作成したもの ハプティックデバイスの実証テストベッド （２）（１）以外で当事業により作成したもの イノベーションジャパン2018での展示ポスターおよびハンドアウト資料
• 事業内容についての問い合わせ先 所属機関名：　公立はこだて未来大学 住　　　所：　〒041-8655　北海道函館市亀田中野町１１６番地２ 代　表　者：　准教授　安井重哉 e-mail：yasui@fun.ac.jp

主な著作・論文

• デッサンを通じて得られる能力についての可能性 Designシンポジウム2012講演論文集，pp.281-285，2012.
• デッサンから得られる学びに関する研究—プロトコル分析とフローチャートを用いたデッサンプロセスの構造化 デザイン学研究 日本デザイン学会第60 回研究発表大会概要集, pp.32-33, 2013.
• 「ずーしーほっきー」のデザインを通した大学と地域の共創 デザイン学研究 日本デザイン学会第61 回研究発表大会概要集, 2014.
• デピボットモデルによる想像プロセスのモデル化 デザイン学特集号「特集/実践するエザイナーたちのデザイン知」，第21 巻3 号通巻83 号，pp.36-41，2015．